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彼と始めた、2ヶ月間のステ離脱の話。全ての方にエールを!

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    皆さんこんにちは星
    本日はエイプリルフール!いよいよ新年度の始まりですねラッキー

    3月の終わりに、あるお客様が和ごみ金沢店を卒業?されました。
    彼は今月から東京へ旅立ち、ダンサーの卵としての一歩を踏み出すことになりました。

    2月の始めから始めた、彼との2ヶ月間のステ離脱。
    今日は、彼との2ヶ月間の話です。



    彼が和ごみに初めて訪れてカウンセリングを受けたのは、今年の2月初め。『アトピーで、ステロイドを使用。あと、ニキビも』
    とりあえず、ニキビはおいといて…第一の目標は、ステの離脱。
    そして、ステ離脱に付き物のリバウンドを、彼が乗り越えられるかどうか。

    ここまでは、和ごみではそんなに珍しくない、相談内容です。

    ところが、彼の場合は、ここからが違いました。
    2ヶ月間の期限付きでの、相談でした。
    彼は、4月からダンサーの勉強に専念するために、東京へ行く事になっていたのです。


    私は、2ヶ月間ではとても無理だとお話しました。ステ離脱は、そんな簡単なものじゃないと。
    4月には、ステ離脱のリバウンドの真っ最中で、とても一人で東京へ行って生活できる状態ではないと、思わず言葉が荒くなりました。
    そんな簡単なものじゃない、とんでもないと。


    ステは使用時から分解代謝され、今はもう体に残ってはいないかもしれない。ただ、長期に渡って使用してきたなら、その影響は体に残っています。
    『酸化コレステロール』と、いうやつです。コレについては長くなるのでまたの機会にアップしますが…。

    人間の体には『恒常性を保とうとする力』があります。ホメオスタシスという言葉で現される、いわゆる自然治癒力です。抵抗力や免疫力もひっくるめての、人間の生命力そのものを現す力。

    東洋医学的な見方からすると、ステを長期間使用してきた体は、主に『腎』が弱っており、五臓六腑の中の、この『腎』は、腎精の貯蔵(人間の成長・発育・生殖などに関わる物質)・水分代謝などが主な働きです。ステ使用によって、この腎が虚する(腎の働きが不足する)と、体全体にさまざまな影響となって現れます。
    子供の頃から成長発育が遅れたり、不妊や生理不順、尿量の減少、精神状態の異常、耳鳴り、顔面紅潮…数え上げればキリが無いほどの影響があります。

    腎は、人間の生命そのものを宿す臓であり、腎が虚するという事は、生命に関わる人体そのものの働きが虚するといっても、過言ではありません。

    東洋医学では、ステは『純陽の品』と言われています。腎陽(腎を温める働き)の上に、この純陽の品であるステが乗っかります。
    ステ離脱は、「ステ使用によって一見、腎の陰陽バランスが取れているように見える体」から「ステロイドを止める」事によって、主に腎から五臓六腑全体のバランスが崩れている体の恒常性を時間をかけて戻す作業です。

    ステを一度でも使用すると難治化するといわれる所以は、ここにあります。
    成人型アトピー性皮膚炎(ステロイド性皮膚炎)は、ステ使用によって体の陰陽バランスが崩れた状態なのです。これは、成人でない子供、幼児期であっても、もちろん同様です。

    よく言われている『リバウンド』は、崩れている体のバランスを元に戻そうとする、ホメオスタシス(自然治癒力)反応です。
    腎が補われ、体全体のバランスが落ち着くまでには、時間が掛かります。使用期間や、ステの種類、年齢にもよりますが、どうしたって、半年〜長くて数年は必要です。


    もろもろの事情を踏まえて、2ヶ月では無理だと、お伝えしました。
    もし、今離脱を始めたら、東京へ行く時にはリバウンド真っ最中だと。

    それでも彼は食い下がり、絶対に離脱を始めると、譲りませんでした。
    いつかはステを止めるなら、いつ離脱を始めても同じだと。
    彼は、腹を括ったようでした。私は迷いました。
    ただ、彼の熱意には、応えなければと思いました。
    そして、一か八かの彼の離脱が、その日から始まりました。


    大変辛いリバウンドでした。
    朝も、日中も、夜も夜中も襲う、耐え難い痒み。
    パンパンに腫れる顔、噴出すリンパ液、割れて切れる皮膚。

    彼は、覚悟を決めて離脱を始めてから、リバウンドの辛さに、始めてしまった離脱をたびたび迷い、ステの使用を再開しようか迷っていたようでした。
    私も、気が気ではありませんでした。


    ステ使用中は、アトピーはあっても、まだ落ち着いていた、もともとイケメン系の彼の顔は、赤黒く、サバンナのひび割れた大地のような皮膚に覆われました。

    彼は、東京へ行く資金は確保してありましたが、その分、和ごみでのステ離脱に必要な予算があまりありませんでした。
    予算が無い彼に、私は、重症さんには決して勧めない安価なフリーコースを、和ごみ創業以来、初めて提案しました。乾燥しひび割れる皮膚に対する保湿材料が、決定的に不足している内容のコースでした。彼には、このコースしか出来ない…それでも、彼にとっては大きな金銭負担でした。

    仕事で来店出来ない不安で辛い日々、予算不足で保湿材料も不足している状態で、どうしたら早く離脱出来るか、どうしたら良いのか分からないときは、少しでもリバウンドの効率を早めるために、生活改善の内容、日常での養生法を、彼と私との携帯電話のメールのやり取りで疑問に答え、教えるようにしました。
    時間がない。予算も無い。徹底した養生で乗り切るしかありませんでした。

    メールは、痒いとき、不安なとき、目を掻いてしまう時、そのときそのときの肌の手入れの仕方、東京で住まい探しをするために高速バスに乗っているときの痒みで辛いとき、ご飯の食べ方、お風呂での手入れ…朝・昼・夜・夜中・明け方…延々と続きました。
    気がつくと、彼とのメールのやり取りは、A4用紙フォント10で、10枚以上の立派な原稿になっていました。

    ある日、彼に、日記をつける事をすすめました。
    今までの彼自身、離脱を始めてからの状態、その時、その日に感じたこと…
    文章を書くのが好きそうな彼に、この2ヶ月間の事を、一つの原稿にしてみないかと、話しました。
    日記は、彼のモチベーションを上げそうな気がしました。
    彼自身の支えにも、なりそうな気がしました。

    彼は、3月の最後の日に、彼の日記を、私にくれると約束してくれました。
    そして、快くホームページへの掲載を、承諾してくれました。
    メールのやり取りも、全て掲載しましょうと言ってくれました。
    これから離脱を始める人達に、勇気を分けたいと、言ってくれました。
    私は、とても嬉しくなりました。彼の離脱を手伝うのが、今まで以上に、楽しみになってきました。


    そして、離脱が進み、皮膚落ちが始まり、また腫れて、皮膚落ちして…
    彼の体から、ステ離脱が進んでいきました。

    3月に入った頃から、手足の冷えが少なくなって、気温が上がってきてからはリバウンドのスピードが速くなってきました。
    腫れ方が少なくなってきて、皮膚落ちの後は、赤みはあっても柔らかい皮膚が出てくるようになってきました。

    この頃から、メールのやり取りが減ってきました。
    離脱、リバウンドの感覚が掴めてきたから不安が減ったと、彼がメールで元気に応えました。肌が良くなるのが分かってきたから、やる気が湧いてきたと。

    来店時の彼の表情が、変わってきました。まだ顔が腫れていて上手く表情が出せないけれど、目が笑っていました。
    「こんにちは」の声が、大きくなりました。

    3月の半ばに少しずつ、カブレがニキビに変化し始めて…
    痒みが少し減ってきたようで、掻き傷と皮膚割れが少なくなってきました。
    肌が以前より柔らかく、滑らかな感触が出てきて、手入れに使う化粧品の浸透と「保湿の持ち」が、良くなってきました。
    施術の終わりに肌を触らせると、少し嬉しそうでした。

    ステ離脱から2ヶ月が経過しようとする3月の終わりには、リバウンドの皮膚落ちの後の赤みも、格段に少なくなってきました。


    そして、3月27日(月)。
    4月から東京へ行く彼の、とりあえずの「和ごみ最後の来店日」

    リバウンドで赤く張っている肌も、お顔の皮膚落ちの後は、赤みが無くなるようになりました。まだ少し腫れているけれど、格段に柔らかくなり、保湿も長く持つ肌になってきたのが分かる肌…施術後、目を閉じて彼の顔に触ると、リバウンドしている肌だと分からない感触になっていました。
    首や胸は、まだまだこれから時間が掛かるだろうけれども。
    とりあえず、お顔の離脱は、完全ではないけれど、一段落してきたようです。


    脅威のスピード離脱。彼のモチベーションの高さ…

    私は、正直、よく分かりませんでした。
    気が気じゃない気持ちから抜けられず、なんとかなったのか、この状態で東京へ行っても彼は大丈夫だろうかと、ただ、彼の体と肌の状態を眺めていたように思います。
    でも、彼は笑っていました。すがすがしい笑顔で、自分の先を見ているような涼しい雰囲気でした。

    彼は、最後の来店日である今日の日記を、私のカウンセリングデスクで書き上げ、帰りに私に渡しました。
    内容を少し見たいと思い、チラッと原稿を眺めましたが、彼が隠そうとするので、見ることは出来ませんでした。

    東京へ行ってからも、良く食べ、よく眠るように。ダンスのレッスンで体力を消耗したら、それに見合う養生をするように…
    大変で辛いときは、写メでもいいから状態を知らせ、メールを寄こすように…
    玄関で、とにかく養生するようにと、彼に伝えました。

    2ヶ月間、お世話になりましたと、明るく元気に去っていく彼を見送り、私はボーッと気が抜けて、原稿を手にしたまま、しばらく店の玄関に立ち尽くしていました。



    彼との2ヶ月間が、そのときに終わりました。

    私は自分の控え室デスクで、彼の原稿を読み始めました。
    そして、彼の秘密を、そのとき初めて、知りました。

    彼は、同性愛者でした。

    生まれついてから、ずっと自分の性について悩み、偏見と差別の中で下を向いて生きてきたこと。
    子供を持つことは生涯叶わず、愛する人と結ばれる事も難しく、何も残せない人生…どん底を見て生きてきた彼が、男女関係無く幸せを与えられる、自分の好きなダンスで何かを残したいと願って、東京へ行くことを決意したこと。
    ダンスで生きるなら、肌をなんとかしないといけないと思い、和ごみに来たこと。
    そして、愛する人が、東京で待っていること。

    彼のどん底と、彼の希望が、原稿の一枚目に書いてありました。

    なぜ、この2ヶ月間、もっと彼の支えになってやれなかったか。
    なぜ、もっと彼を知ろうとしなかったのか。
    もっともっと、彼の手助けに、なろうと思えばなれたのに。

    後悔と悔しさ、情けなさの嵐で、涙が止まりませんでした。

    彼の力になろうと思い上がっていた自分が、バカみたいに思えました。
    私の心配には及ばない、彼はとても強く真っ直ぐな人であったのに。
    この2ヶ月間のステ離脱、リバウンドは、彼自身の人生を賭けた一大決心であり、彼は立派にその賭けに勝ち、自分の人生を掴み取った。

    私は、彼に感服し、尊敬の念を覚えました。リスペクト!です。

    しばらく泣いて、彼にメールを送りました。
    翌日、彼は、まだまだ世話になります!(笑)と元気な返信をくれました。
    私のメッセージを読んで、勇気をもらったと、言ってくれました。



    最後に、これからの彼の人生にエールを!

    ステ離脱など、長い人生の中では、小さな壁に過ぎないんだから。
    これからも辛い思いが沢山ある、その壁を乗り越える事に比べたら、どんなに苦しいリバウンドも、振り返れば小さな苦しみにしか過ぎないでしょう。

    でも、このことは、必ず彼の支えになり、彼の人生を生きやすくしてくれる糧になるでしょう。

    自分を信じて、自分で強くなり、内面から輝く感動を与えられる人間に、必ずなれる!
    自由に生きられるように、必ずなるから。

    頑張れ!



    ※彼の日記と、私とのメールのやり取りを、近いうちに和ごみホームページにアップします。
    ステ離脱、リバウンドに悩む方々の助けになれたら、彼も私も幸せです。
    離れている彼も、私も、まだお会いできない貴方も。いつでも心は一つに繋がっています。
    全てのアトピーさん、ステさんに、エールを!